味の傾向:酸味系
オススメロースト:ハイロースト2
コメント:フルーティな香り酸味。好き嫌いが分かれますが中毒性抜群。
カッピングプロファイル
ブルーベリー、レッドアップル、グレープフルーツ、シュガーケイン、シトリック、ラクティク、ラウンドマウスフィール
詳細情報
国名 :エチオピア
エリア :南部諸民族州ゲデオ県ゲデブ
農園 :農園なし 生産者 ディンキネシュ・ヒルバイェ
標高 :2,100m
豆の種類 :原生品種(クルメ)
精製方法 :ナチュラル
独特の風味を持っていることから世界中で高い評価を受けているイルガチェッフェコーヒー。エチオピア南部の南部諸民族州ゲデオ県(zone)で生産されるコーヒーが、イルガチェッフェの生産エリアに区分されています。コーヒーの生産が本格的に始まったのは、1950年代とコーヒーの生産文化からすると比較的新しいエリアですが、紅茶やジャスミンを思わせる華やかで特徴的なフレーバーで、1980年頃にシダモ(コーヒー産地)の中から、特徴的なものとして、区分されて今に至ります。その特別な風味は、肥沃な黒土と、コーヒーに適した気象条件の恩恵であると人々は信じ、川と森に囲まれた美しいAbaya湖を望む自然の中で、丁寧に作り上げられています。
(エチオピア行政区分)
Region(州):南部諸民族州、オロミア州など
Zone(県):ゲデオ、グジ、シダマ等
Woreda(郡・町):ゲデオ県であれば、イルガチェッフェ、ゲデブ、コチェレなど
Kebere(集落):コンガ、イディド、ハフーサなど(元々は共産時代の200件の農家のグループ分けで、厳密な行政区に対する名称でない場合もあります)
※産地としてのイルガチェッフェは、ゲデオzone一帯で生産されたコーヒーを指し、行政区としてのイルガチェッフェは、南部諸民族州ゲデオzone の中の一つのWoredaを指します。
エチオピアの小規模生産農家
ディンキネシュ・ヒルバイェさんは、南部諸民族州ゲデオ県ゲデブに暮らすコーヒー生産農家で、およそ5ヘクタールの森にコーヒーとエンセーテを栽培し、一族で暮らしています。(ニセバナナとも言われる実は付けないがバナナの木に似た植物で、デンプンとして食用に栽培されています)標高2000mの森林では、現地でKudume/Kurmeと呼ばれる小さな豆(チェリー)を呼称した原生品種を育てています。収穫は11月から1月にかけて行われますが、この土地では降雨や日照、気温などの微気候が異なるために、通常のエチオピアコーヒーに比べ収穫期が遅く、2月中まで続くこと少なくありません。しかし、ゆっくりと時間を掛けて成熟したチェリーは、より華やかで複雑な風味を生み出すと言います。そして丁寧に摘み取り選別した赤いチェリーを天日で乾燥させ、ナチュラルコーヒーに仕上げられます。
1999年からコーヒー生産を開始したディンキネシュ・ファミリーは、夫のアベラ・バントラさん、奥さんのディンキネシュさん、7人の子供たちの9人家族です。アベラ・バントラさんとその弟のシフェラウ・バントラさんが元々イルガチェフェを代表するコンガ農協で働いていた事から、より高い品質を目指したコーヒーを自分たちの手で輸出したいと、農協の委員の任期満了を機に、輸出ライセンスの取得に動きます。技術的なサポート不足によって、はじめはうまくいきませんでしたが、時間を掛けて妻のディンキネシュ・ヒルバイェさんが2020年に輸出許可を取得し、家族で新しい道を切り開いています。
コンガ・トレーディング社
コンガ・トレーディング社は、2020年設立のイルガチェフェ地域専門のコーヒー輸出企業です。創設者のタケレ氏は、エチオピア最大手の1つであるイルガチェフェコーヒー農協組合(YCFCU)のゼネラルマネージャーとして12年務め、イルガチェフェのコーヒー生産や農家を知り尽くしたイルガチェフェのリーダーの1人です。タケレ氏自身もゲデオ県イルガチェフェ、コンガ村の出身で、この土地に暮らすコーヒー生産者の献身と努力にスポットライトを当て、今以上に素晴らしいイルガチェフェコーヒーを農家と二人三脚で作り出したいと、農協という枠組みを外れ、コンガ・トレーディング社を設立しました。そして、彼と同じように、より高品質で素晴らしい風味を持つコーヒーを目指した数軒の農家と共に、単一生産農園による新しい、そして高品質なイルガチェフェコーヒーの供給に挑戦しています。
2023年カッピングコメント
甘さの伴う華やかな風味ブドウやブルーベリー、アプリコットなど華やかなアロマ・フレーバーがあり、アフターテイストまで長く持続するしっかりとした印象度を感じました。また、アシディティに甘さがしっかりとのっているので調和したバランス感があり、印象がとても良かったです。またカップ自体に濃厚さがあり、スムースなマウスフィールの印象を持ち上げてくれている印象でした。一方で、過抽出や焙煎傾向によっては少し苦みやビター感が出やすいかなと感じました。その点、焙煎やその後のエージングなどでの調整点になるかもしれません。
元コンガ農協の生産者によるシングルオリジンという事もあってか、選別や熟度の均一性、風味などコンガ農協ロットの上位互換的な印象で、一度お試しいただきたい銘柄です。