ご挨拶

2006年2月、コーヒーがあまり好きではない先代のマスター(義父)がコーヒーが大好きな妻(義母)のために予算を大きくオーバーしながら作りあげたのがこの「コーヒーローストサイ」でした。

当初は「なんとか10年は店を続けて年金をもらうようになったら辞めても良い」と思っていたそうです。

儲ける事が目的ではないため喫茶店ではないと断られた方、マスターの虫の居所が悪かったのか強めに断られた方、ナッツを買いたかったのに売ってもらえなかった方…たくさんいらっしゃいます。

それでもめげずに長年通っていただき「今では良い思い出だよ」と言ってくださる方もいます。

でもマスターは本来は優しい人なので、親子でご来店されるお子さん用のビスコを用意したり、悩みの相談に乗ったり、引っ越ししたばかりで道がわからなくなった方の家を一緒に探したり、サービスコーヒーはウェッジウッドなど良い食器を使おうとこだわったり。

そんなマスター夫妻の人柄に惚れて通ってくださる方がとても多い店になりました。

2018年4月ステージ1の食道癌が見つかり同年5月に手術を行いました。ただ思っていたよりステージが進行しており抗がん剤を使用しましたが合わなかったようで7月に享年67歳でこの世を去りました。

 

 

私は2009年にマスターのお嬢さんと結婚し会社員を辞め2015年9月から正式にコーヒーの修行に入りましたが、最初は反対されました。

儲ける店でない事と店の家主が高齢でいつまでできるかわからない事が理由でした。私達夫婦は手作りお菓子を販売したかったので自宅を改装して菓子製造許可を取りました。

最初はコーヒーはほとんど飲めませんでしたが、今では「パナマゲイシャの香りは別格」とか「ハワイコナの酸味は素晴らしい!」など生意気なことを言える程度ですが味の違いがわかるようになってきました。

これからもコーヒーの勉強を続けていかねばと思っています。

相性の良いコーヒー屋を見つけるのは、相性の良い歯医者や床屋、美容院を見つけるのと同じくらい大変だと思っています。

残された僕たち家族の目標は、細くても長く、この店を続けていくことだと決意しました。

ただ2代目夫婦は病弱です。前々職ではストレスで幽体離脱しながら救急車で運ばれたり、2年前に突発性難聴になり今も左耳がほとんど聞こえません。

妻は20年近く難病のクローン病を患い現在も闘病中で2018年大きく悪化し、以降もやや回復傾向ですが安心はできない状態です。

症状を抑えるため2019年11月から小麦粉と乳製品を控えることを始めました。(グルテンフリー、カゼインフリー)

当初は禁断症状なのかイライラすることも多かったのですが、今は炎症数値も改善傾向にあり全てを排除するというよりも上記タンパク質の数値が低いものは摂取したりほどほどの距離感を保つことで継続していくつもりです。

僕たちは前マスターに比べて頼りない、不甲斐ないと思われるかもしれませんが、上記問題を解決しつつこれから少なくとも25年はお店を続けられるよう精一杯頑張る予定ですので、これからも今までと変わらぬご愛顧を、どうぞ末長くよろしく申し上げます。

2代目店主 福田宏之、絵里奈