味の傾向:酸味
オススメロースト:ハイロースト2
コメント:ジューシーさ、紅茶のような香りも高く後味の良さも抜群です。好き嫌いは分かれますが中毒性あります。
詳細情報
国名 :ニカラグア
エリア :ヒノテガ県ヒノテガ
農園 :ラス・デリシャス農園
標高 :1,260m~1,400m
豆の種類 :ジャバニカ
精製方法 :低温嫌気性発酵を伴うナチュラル
カッピングプロファイル
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- グレープ、プラム、ブルーベリー、ティーライク、メイプルシロップ、タータリック、シロッピーマウスフィール、ロングスウィート
ラス・デリシャス農園は2014年にミエリッヒの農園に加わった新しい農園です。ヒノテガの標高1260mから最高1450mに位置する農園で彼らを代表する農園・サンホセ農園の隣に位置しています。ジャバニカやブルボンを中心に、イエローパカマラやゲイシャなど特徴的な風味を有する品種を生産し、ミエリッヒ・ファミリーの長年の経験の集大成として革新的なプロセスに挑戦しています。
隣接するサンホセ農園と同様に、このラス・デリシャス農園もアパナス湖を展望する断崖の上にあり、湖面から反射される光により、日照時間は早朝5時半〜夕方6時半と日照に恵まれ、特徴的なマイクロクライメットを有します。また、風通し良く雨量にも恵まれている為、土壌保護や土壌バランスを整えるためにマメ科の植物が植えられ、栄養豊富で熟度の高いチェリーを実らせます。
ラス・デリシャスの嫌気性発酵プロセス
今回、ラス・デリシャス農園のジャバニカに用いられたプロセスは嫌気性発酵を行ったチェリーによるナチュラルプロセスです。この嫌気性発酵は、5代目となるエルイン・ミエリッヒJrがここ数年取り組んできたFincas Mierischの新しい生産処理方法です。当初、他の生産国などでも行われている酸素を抜いた密閉容器内でチェリーを発酵させ、その後乾燥をさせる嫌気性発酵をハニープロセスとナチュラルの2つで検証していました。この方法によって出来上がるコーヒーは、強く特異なフレーバーには真新しさはあるものの、スペシャルティコーヒーとして心地よいアロマ・フレーバー、クリーンなカップを実現するにはほど遠いものでした。
しかし、この嫌気性発酵による工程を加えることで、通常のナチュラルコーヒーやハニープロセスでは生まれない風味の変化が起こる事から、長い時間を掛けて諦めずに検証を続けてきました。
そして、最終的に低温環境で嫌気性発酵を行う事で、クリーンカップを損なわずにフレーバーがより明瞭に、そして酸の質も高まる理想的な嫌気性発酵のレシピに辿り着きました。現在は、低温保管倉庫を作り、ナチュラルの場合には収穫したチェリーを脱酸素のタンクに密閉し48時間嫌気性発酵を施しています。その後、パティオと室内アフリカンベッドを併用して乾燥させていきます。アフリカンベッドは3段組になっており、理想の水分値に近づいたら下の段に移動し、最終的に最も低い棚で12.5%のパーチメントに仕上げると言います。こうしたスペシャルティマイクロロットの場合、乾燥時間は20日~22日の長期に亘ってゆっくりと乾燥を行い仕上げられています。
Fincas Mierischの新体制
現在のFicas Mierischは、4代目のエルイン・ミエリッヒ氏がアメリカに渡ったことで、妹のエレアン・ミエリッヒさんとエルイン・ミエリッヒJrが中心となり、持続可能なコーヒー生産をスタッフたちと一丸になって真剣に努力を続けています。エルイン・ミエリッヒJrはこんなメッセージをくれました。「今回の嫌気性発酵を伴ったハニープロセスやナチュラルのコーヒーは、私たちにとって新しい挑戦であり、希望でもあります。スペシャルティコーヒーのマーケットの中で、品質に情熱を傾けることで、私たちの暮らす地域経済に笑顔が増えました。そして私たちはこの素晴らしいコーヒーを生み出してくれる自然環境の大切さを知りました。その中で、水の使用を抑制し自然環境に負荷を掛けないようにハニープロセスやナチュラルプロセスの研究を続け、様々な品種の生産にも投資してきました。現在も、農園で働く多くのスタッフとその家族の幸福、環境の保護、コーヒーの品質に焦点を当てて、チームが一丸となってコーヒー生産に従事しています。コーヒーのマーケットは常に新しい風味を求めています。いつまでも私たちのコーヒーを楽しんでもらい、美味しいと消費してもらえるように。農園・ウェットミル・ドライミル・輸出部門・品質管理の各チームが手を取り合って常に新しい課題を見つけ、改善をしています。この嫌気性発酵への挑戦もその1つで、私たちのコーヒー生産の持続可能性を高め、皆さんを満足させることができる事を願っています。」
2024年カッピングコメント
ブドウやプラム、ブルーベリーなどアナエロビックらしい風味・キャラクターが良く感じられる一方で、彼らの定温での嫌気性発酵の効果としてカップが非常にクリーンでアシディティのジューシーな印象やクリーンさからくる軽やかな印象を感じました。アフターテイストもチョコレートのような甘い風味が持続し、冷めるにつれジャバニカ種のティーライクな印象も感じられ、品種と生産処理双方のキャラクターが感じられる点も魅力かと思います。アナエロビックナチュラルの中でも、飲み疲れなく、好みを選ばず華やかさが楽しめるロットかと思いますので、是非楽しんで頂ければと思います。